
令和8年(2026年)は、労働安全衛生法および関連政省令において、大きな転換点となる改正が目白押しです。今回の改正の大きな特徴は、これまでの「労働者」中心の守備範囲から、「個人事業主・フリーランス」等に対する安全衛生対策の推進や職場のメンタルヘルス対策の推進が行われることになったことです。この記事では、2026年、2027年の主な施行スケジュールや改正内容、企業が準備すべきことについて詳しく解説しています。
改正の主なポイントは?
2025(令和7)年5月14 日に改正労働安全衛生法が公布され、2026(令和8)年1月1日から段階的に重要な規定がスタートします。今回の改正のポイントは、次の①~⑥となっています。
①個人事業者(一人親方・フリーランス)の安全対策の推進
これまで安衛法は主に「雇用されている労働者」が対象でしたが、2026年4月からは、同じ場所で働く個人事業者等に対しても、元請け企業などが安全措置(立ち入り禁止措置や避難の指示など)を講じることが義務付けられます。また個人事業者が被災した場合も、労働基準監督署への報告が必要になる仕組みが創設されます。
②50人未満の事業場でのストレスチェック義務化
これまで「努力義務」だった従業員50人未満の小規模事業場においても、ストレスチェックの実施が義務付けられます。
③化学物質による健康障害防止対策等の推進
化学物質による労働災害を減らすため、国による一律の規制から、企業自らがリスクを判断して対策を講じる「自律的管理」へとシフトしています。
表示・通知対象物質の拡大: 2026年4月には、SDS(安全データシート)の提供義務がある物質がさらに追加される予定です。
個人ばく露測定の導入: 従来の「空間の濃度」だけでなく、作業員が実際に吸い込んでいる量を測る「個人ばく露測定」が正式に制度に組み込まれます。
④機械等の労働災害防止の促進等
⑤高年齢労働者の労災防止(努力義務)
働く高齢者の増加に伴い、転倒や墜落を防ぐための身体機能への配慮や、作業環境の改善が事業者の努力義務となります。国から具体的な指針(ガイドライン)が示される予定です。
⑥治療と仕事の両立支援の推進
いつから義務化?2026年、2027年の施行スケジュール
2025(令和7)年5月14 日に改正労働安全衛生法が公布され、2026(令和8)年1月、4月、10月、2027(令和9)年1月、4月と段階的に重要な規定がスタートします。なお一部(注文者等の配慮)は、公布日(2025年5月14日)に施行済みです。
| 施行時期 | 主な改正内容 | 対象となる企業・現場 |
| 2026年1月1日 | 特定自主検査・技能講習の不正防止対策(罰則等)の強化 | 重機・機械を使用する全業種 |
| 2026年4月1日 | 混在作業場所における元方事業者等への措置義務対象の拡大 | 一人親方やフリーランスと働く事業者 |
| 2026年4月1日 | 営業秘密である成分に係る代替化学品名等の通知ルール整備 | 化学物質を扱う製造・販売業 |
| 2026年4月1日 | 特定機械等の製造許可及び製造時等検査制度の見直し | 特定機械等の製造業 |
| 2026年4月1日 | 高年齢労働者の労働災害防止の推進が努力義務化 | 全ての事業者 |
| 2026年4月1日 | 治療と仕事の両立支援の推進が努力義務化 | 全ての事業者 |
| 2026年10月1日 | 個人ばく露測定の作業環境測定への位置付け | 危険有害化学物質を扱う事業場 |
| 2027年1月1日 | 個人事業者等の業務上災害報告制度の創設 | 個人事業者等 |
| 2027年4月1日 | 個人事業者等自身への安全衛生教育の受講等の義務付け | 個人事業者等 |
| 2027年4月1日 | 作業場所管理事業者への連絡調整措置の義務付け | 作業場所管理事業者 |
| 未定(公布後3年以内に政令で定める日) | 50人未満の事業場でのストレスチェック義務化 | 全ての小規模事業場 |
| 未定(公布後5年以内に政令で定める日) | 化学物質の譲渡・提供時における危険性及び有害性情報の通知義務違反に対する罰則の設置、通知事項を変更した場合の再通知義務化 | 化学物質を扱う製造・販売業 |
常用労働者50人未満の事業場でのストレスチェック義務化については、改正法成立から3年以内(2028年5月まで)に施行予定ですが、2026年中の施行に向けた準備が進められています。
ストレスチェック義務化については、下記の記事をご覧ください。
企業が準備すべきことは?
近年は、労働安全衛生法が次々改正され、小企業ほど対応に追われます。下記を参照の上、今後の法改正を見据えた“先回り型の安全衛生体制”を構築しましょう。
■体制の見直し:
50人未満の事業場は、産業医の確保やストレスチェックの実施フローを確認してください。
■外注管理の確認
一人親方やフリーランスを活用している建設業やIT業などは、現場での安全指示系統を再整備する必要があります。
■化学物質管理者の選任
すでに義務化が始まっている項目(2024年4月〜)も含め、適切な管理者が選任されているか再確認が必要です。
まとめ
今回の改正は、個人事業者(一人親方・フリーランス)や50人未満の事業場も対象とされているため、法改正の情報を確認し「いつから必要なのか」「うちは対象なのか」「何をどこまでやればいいのか」を適切に把握しておきましょう。
下記の記事もご覧ください。

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