人身事故や地震の影響による電車遅延で遅刻した時間分の残業した社員に割増賃金の支払いは必要?

28日日本気象協会HPによると、台風10号は、29日(木)に九州南部に接近後、日本列島を縦断する恐れがあると予想されています。

出典:日本気象協会「天気ニュース2024年08月28日09:01」

大事に至らないことを祈っております

台風や土砂災害・地震・大雨警報・人身事故などの影響による電車の遅延・運転見合わせなどで、社員が遅刻した場合、遅刻した時間分の給与を差し引いても問題ないでしょうか。

当記事では、電車の遅延・運転見合わせなどで遅刻した社員の給与や遅刻した時間分を残業した場合、割増賃金の支払いが必要かについて、詳しく解説します。

電車遅延で遅刻した社員の給与カットはできる?

人身事故や信号トラブル・台風・大雨などの自然災害の影響による電車遅延や運転見合わせにより出社時間が遅れた社員の給与ですが、日給月給制や月給日給制の場合は、遅刻した時間分の給与を差し引いても問題ありません。遅刻した社員が、遅延証明書を提出した場合も、遅刻した時間分の給与を差し引いても問題ありません。なお完全月給制の場合は、遅刻や早退・欠勤による控除はできません。

遅刻した時間分の残業をした社員に割増賃金の支払いは必要?

遅刻した社員が、遅刻した「当日」に残業をした場合、遅刻した時間分の労働時間に対しては割増賃金の支払いは必要ありません。しかし遅刻した翌日など後日に残業した場合は、遅刻した時間分の労働時間に対しても割増賃金の支払いが必要です。

(例1)所定労働時間9時~18時(途中休憩1時間)日給月給制の社員が、電車の遅れで10時に出勤し遅刻した当日に19時(途中休憩1時間)まで仕事をした場合

遅刻した当日の1日の労働時間8時間で、法定労働時間内であるため、残業代(割増賃金)の支払いは必要ありません。

(例2)所定労働9時~18時(途中休憩1時間)日給月給制の社員が、電車の遅れで10時に出勤し、遅刻した日の翌日に9時~19時(途中休憩1時間)まで仕事をした場合

遅刻した翌日の1日の労働時間は9時間で、法定労働時間を1時間超えているため、1時間分の残業代(割増賃金)を支払う必要があります。

まとめ

最近は、台風の予報や大雨警報が発令された段階で、計画運休が発表されます。社員の方が安全に通勤できるように、自然災害により公共交通機関が止まった場合の対応策を、就業規則や賃金規程に規定しておきましょう。

下記の記事もご覧ください。

2024年4月から適用されたトラック・タクシー・ハイヤー・バス運転手や建設業・医師の時間外労働の上限規制に対応した36協定届の作成や新たに記載が必要になった労働条件の項目を含む雇用契約書や労働条件通知書の作成については、下記をご覧ください。


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