2025年度最低賃金47都道府県1,000円越え!いつから上がる?

厚生労働省HPで、令和7年度の地域別最低賃金額及び発効年月日(予定)が公表されました。

2025年(令和7年)度の地域別最低賃金額は、全国加重平均1,121円と現在2024年度の全国加重平均額1,055円より66円の引上げとなっています。当記事では、2025年10月から順次引き上げが予定されている47都道府県の最低賃金額と月給が最低賃金額以上か確認する方法について解説します。

2025年(令和7年)度最低賃金額の最高額は何円?

2025(令和7)年10月1日から2026(令和8)年3月31日までの間に、47都道府県で、順次、最低賃金額の引き上げが予定されています。

2025(令和7)年度の地域別最低賃金額は、

■ 全国加重平均 1,121 円(令和6年度1,055円より+66円)

■ 最高額は東京都 1,226円 (改定前の東京都の最低賃金額は1,163円)

■ 最低額は高知県、宮崎県、沖縄県  1,023円  

■ 最高額(1,226円)と最低額(1,023円)の金額差は203円

と、全国加重平均額66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となっています。また47都道府県で、最低賃金時間額が1,000円を超えました。

47都道府県の地域別最低賃金改正額および発行月日については、下記をご覧ください。

都道府県名最低賃金時間額【円】
( )内は改定前の地域別最低賃金額
引上げ額【円】発効年月日
北海道1,075 ( 1,010 )652025年10月4日
青 森1,029 ( 953 )762025年11月21日
岩 手1,031 ( 952 )792025年12月1日
宮 城1,038 ( 973 )652025年10月4日
秋 田1,031 ( 951 )802026年3月31日
山 形 1,032 ( 955 )772025年12月23日
福 島 1,033 ( 955 )782026年1月1日
茨 城1,074 ( 1,005 )692025年10月12日
栃 木1,068 ( 1,004 )642025年10月1日
群 馬1,063 ( 985 )782026年3月1日
埼 玉 1,141 ( 1,078 )632025年11月1日
千 葉 1,140 ( 1,076 )642025年 10月3日
東  京 1,226 ( 1,163 )632025年10月3日
神奈川 1,225 ( 1,162 )632025年10月4日
新 潟 1,050( 985 )652025年10月2日
富 山 1,062 ( 998 )642025年10月12日
石 川 1,054 ( 984 )702025年10月8日
福 井1,053 ( 984 )692025年10月8日
山 梨1,052 ( 988 )642025年12月1日
長  野1,061 ( 998 )632025年10月3日
岐 阜1,065 ( 1,001 )642025年 10月18日
静 岡1,097 ( 1,034 )632025年11月1日
愛 知1,140 ( 1,077 )632025年10月18日
三 重1,087 ( 1,023 )642025年11月21日
滋 賀 1,080 ( 1,017 )632025年10月5日
京 都1,122 ( 1,058 )642025年11月21日
大 阪 1,177 ( 1,114 )632025年10月16日
兵 庫1,116 ( 1,052 )642025年10月4日
奈 良1,051 ( 986 )652025年11月16日
和歌山1,045 ( 980 )652025年11月1日
鳥 取1,030 ( 957 )732025年10月4日
島 根1,033 ( 962 )712025年11月17日
岡 山1,047 ( 982 )652025年12月1日
広 島1,085 ( 1,020 )652025年11月1日
山 口1,043 ( 979 )642025年10月16日
徳 島1,046 ( 980 )662026年1月1日
香 川1,036 ( 970 )662025年10月18日
愛 媛1,033 ( 956 )772025年12月1日
高 知1,023 ( 952 )712025年12月1日
福 岡1,057 ( 992 )652025年11月16日
佐 賀1,030 ( 956 )742025年11月21日
長 崎1,031 ( 953 )782025年12月1日
熊 本1,034 ( 952 )822026年1月1日
大 分1,035 ( 954 )812026年1月1日
宮 崎1,023 ( 952 )712025年11月16日
鹿児島1,026 ( 953 )732025年11月1日
沖 縄1,023 ( 952 )712025年12月1日
全国加重平均1,121 ( 1,055 )66

出典:厚生労働省「令和7年度地域別最低賃金の全国一覧」

最低賃金額の対象とならない賃金とは?

最低賃金の対象となるのは、基本給や役職手当などの諸手当で、毎月支払われる基本的な賃金です。

日給制や月給制の労働者の賃金が、最低賃金額以上かを確認するため時給換算する場合、実際に支払われる賃金からボーナスや残業代・休日出勤手当など以下の賃金を除外したものが対象となります。

【最低賃金の対象とならない賃金】

(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

(2)1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナス・賞与など)

(3)所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(残業代・時間外割増賃金など)

(4)所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

(5)午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

(6)精皆勤手当、通勤手当および家族手当

出典:厚生労働省「必ずチェック最低賃金ポイント!最低賃金|対象となる賃金は?」

基本給は日給、資格手当は月給の社員の賃金が最低賃金額以上か換算する方法は?

日給制の社員の賃金が、最低賃金額以上か比べる時、時給(1時間当たりの賃金額)に換算するには、下記の計算式で計算します。


「 日給 ÷ 1日の平均所定労働時間=時給 ≧最低賃金時間額」

「基本給は日給で、職務手当など各種手当は月給」という場合は、下記の例の方法で換算し最低賃金額以上か比較します。

(例)東京都の会社に勤める社員Aが下記の労働時間・賃金の場合

■1日の所定労働時間が8時間、1か月の平均所定労働時間が160時間

■基本給(日給)が8,800円、通勤手当(月給)が6,000円、資格手当(月給)が10,400円

(1)基本給(日給)を時間給に換算するには、下記の計算式で求めます。
 

8,800円 ÷ 1日の所定労働時間(8時間)=1,100円
 
  

(2)最低賃金と比較する時、通勤手当は賃金に算入しないので、資格手当を時間給に換算するには、下記の計算式で求めます。 

10,400円 ÷ 1か月の平均所定労働時間(160時間)=65円

社員Aの時間給=(1)+(2)=1,100円+65円=1,165円>令和6年度東京都の最低賃金1,163円

と社員Aの時間給は、1,165円となります。令和6年度東京都の最低賃金は1,163円であるので、

現在は問題ありませんが、2025年10月3日から東京都の地域別最低賃金時間額は1,226円となるので、基本給などの見直しが必要になります。

月給制の社員の賃金が最低賃金額以上か換算する方法は?

月給制の社員の賃金が、最低賃金額以上か比べるため、時給(1時間当たりの賃金額)に換算するには、下記の計算式で計算します。


「 月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間=時給 ≧最低賃金時間額」

「基本給・役職手当などの各種手当ともに月給」という場合は、下記の例の方法で換算し最低賃金額以上か比較します。

(例)東京都の会社に勤める社員Bが下記の労働時間・賃金の場合

■1日の所定労働時間が8時間、年間労働日数240日

■基本給(月給)が180,000円、通勤手当(月給)が6,000円、役職手当(月給)が3,000円、資格手当(月給)が5,000円、家族手当(月給)が5,000円

(1)社員Bに支払われた賃金のうち、最低賃金額との比較に参入しない通勤手当・家族手当を除くと、下記の金額になります。
 

180,000円(基本給)+3,000円(役職手当)+5,000円(資格手当)=188,000円
   

(2) 1か月の平均所定労働時間は、下記の計算式で求めます。

1か月の平均所定労働時間=(年間労働日数240日×1日の所定労働時間8時間)÷12=160時間

(1)で求めた金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較すると、下記のようになります。

188,000円÷1か月の平均所定労働時間160時間=1,175円>令和6年度東京都の最低賃金1,163円

2025年10月1日から、東京都の地域別最低賃金額は1,226円となるので基本給などの見直しが必要になります。

まとめ

給与計算担当者の方は、日給制や月給制の労働者の時間額が、10月からの最低賃金額以上であるか確認する際は、基本給だけでなく、資格手当や役職手当など各種手当(通勤手当や家族手当などを除く)の参入も忘れないようご注意ください。

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