25日日本気象協会HPによると、台風10号は、28日(水)頃に西日本に接近し、上陸するおそれがあると予想されています。
出典:日本気象協会「天気ニュース2024年08月25日18:44」
大事に至らないことを祈っております。地震の発生や台風直撃・大雨警報の発令などの影響で電車遅延や運転見合わせによる帰宅困難が、社会問題となっています。この記事では、地震の発生や大雪警報の発令で従業員を早退させた場合の休業手当や帰宅困難者がホテルに宿泊した時やタクシーを利用した時の費用の負担について、詳しく解説します。
大雪や地震などで臨時休業した!休業手当の支払いは必要?
会社の都合(使用者の責めに帰すべき理由)で労働者を休ませた場合、平均賃金の60/100以上の休業手当を支払わなければなりません。(労働基準法第26条)
ただし大雪や地震など天災事変などの不可抗力で、下記の1と2の両方を満たしている場合の休業については、休業手当を支払う必要はありません。
1.その原因が、事業の外部より発生したこと
2.事業主が通常の経営者として、最大限の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること
台風や大雪・地震などの天災事変などで、会社の施設や設備が、直接的な被害を受けて従業員を休業させた場合は、使用者の責めに帰すべき理由による休業には該当せず、休業手当の支払いが不要とされています。
会社が社員に帰宅命令をし早退させた!休業手当の支払いは必要?
休業は、全1日の休業だけでなく、短時間の休業も対象になります。
午前中に仕事をした社員に事業主が「台風が接近中で暴風警報が発令されたので、早退するように」と、予報の段階で帰宅命令をし社員を早退させた場合、上記の1と2に該当せず
「休業手当(平均賃金の60/100)>午前中勤務した時間分の賃金」
に該当する場合は、差額を休業手当として支払う必要があります。ただし、完全月給制の社員については、遅刻や早退・欠勤による控除はできません。
(例)午前中勤務した日給月給制の社員(日給10,000円)を、会社の指示で早退させた
午前中の勤務時間分の賃金(4,000円)を支払った場合は
(10,000円×60/100)− 4,000円=2,000円
と差額の2,000円を休業手当として支払う必要があります。
電車の運転見合わせによる帰宅困難者のホテル代やタクシー代は?
地震や大雪など自然災害・人身事故などの影響で、電車が運転見合わせとなり社員が帰宅できず帰宅困難になり、ホテルに宿泊した場合やタクシーを利用した場合の費用の負担については、下記のようになります。
■ 社員が自主的にホテルに宿泊またはタクシーで帰宅した場合、ホテル代やタクシー代を会社が負担する必要なし
■ 会社の指示で社員の方をホテルに宿泊させたり、タクシーで帰宅させた
→ホテル代やタクシー代は、会社が負担する必要あり
自然災害時などの臨時休業による休業手当の支払いやホテル代・タクシー代の取り扱いについては、あらかじめ就業規則などで定めておきましょう。
まとめ
会社は、従業員の安全配慮義務があるため、台風の接近や地震の発生、津波警報が発令された場合など、自然災害の発生や警報が発令された場合の自宅待機や帰宅命令による早退について検討し、就業規則に定めておきましょう。
台風や地震など自然災害による休業をした場合の賃金の支払いについては、下記の記事をご覧ください。