厚生労働省は、毎年9月1日~30日までを準備期間、10月1日~7日までを「全国労働衛生週間」の本週間とし、労働者の健康管理や職場環境の改善などの啓発活動を実施しています。
今年も、10月1日(火)~10月7日(月)まで、令和6年度「全国労働衛生週間」が実施されますが、7月30日厚生労働省のホームページで、令和6年度全国労働衛生週間実施要綱が公表されました。
全国労働衛生週間は、職場の労働衛生意識の高揚と自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることを目標としています。この記事では、過重労働・メンタルヘルス・健康確保等の対策のために、令和6年度「全国労働衛生週間」の準備期間中と10月1日からの本週間に、会社が実施することについて、お伝えします。
9月1日~30日の準備期間中にすることは?
今年も、10月1日から令和6年度「全国労働衛生週間」が始まります。実施要綱によると、9月1日から30日間を準備期間とし、下記の事項について、日常の労働衛生活動の総点検を行うこととされています。
ア 重点事項 | (ア) 過重労働による健康障害防止のための総合対策に関する事項 (イ)「労働者の心の健康の保持増進のための指針」等に基づくメンタルヘルス対 策の推進に関する事項 (ウ)転倒・腰痛災害の予防に関する事項 (エ)化学物質による健康障害防止対策に関する事項 (オ)石綿による健康障害防止対策に関する事項 (カ)「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」に基づく受動喫煙防止対策に関する事項 (キ)「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に基づく治療と仕事の両立支援対策の推進に関する事項 (ク)「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」に基づく熱中症予防対策の推進等に関する事項 (ケ)「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に基づく労働者の作業環境、健康確保等の推進に関する事項 (コ)小規模事業場における産業保健活動の充実に関する事項 (サ)女性の健康課題の理解促進に関する事項 |
イ 労働衛生3管理の推進等 | (ア)労働衛生管理体制の確立とリスクアセスメントを含む労働安全衛生マネジメントシステムの確立をはじめとした労働衛生管理活動の活性化に関する事項 (イ)作業環境管理の推進に関する事項 (ウ)作業管理の推進に関する事項 (エ)「職場の健康診断実施強化月間」(9月1日~9月 30 日)を契機とした健康管理の推進に関する事項 (オ)労働衛生教育の推進に関する事項 (カ)「事業場における労働者の健康保持増進の指針」等に基づく心とからだの健康づくりの継続的かつ計画的な実施に関する事項 (キ)快適職場指針に基づく快適な職場環境の形成の推進に関する事項 (ク)「副業・兼業の促進に関するガイドライン」に基づく副業・兼業を行う労働者の健康確保対策の推進に関する事項 (ケ)「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」に基づく個人事業者等が健康に就業するための取組の推進に関する事項 |
ウ 作業の特性に応じた事項 | (ア)粉じん障害防止対策の徹底に関する事項 (イ)電離放射線障害防止対策の徹底に関する事項 (ウ)「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づく騒音障害防止対策の徹底に関する事項 (エ)「振動障害総合対策要綱」に基づく振動障害防止対策の徹底に関する事項 (オ)「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」に基づく情報機器作業における労働衛生管理対策の推進に関する事項 (カ)酸素欠乏症等の防止対策の推進に関する事項 (キ)建設業、食料品製造業等における一酸化炭素中毒防止のための換気等に関する事項 |
エ 東日本大震災等に関連する労働衛生対策の推進 | (ア)東京電力福島第一原子力発電所における作業や除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策の徹底に関する事項 (イ)「原子力施設における放射線業務及び緊急作業に係る安全衛生管理対策の強化について」(平成 24 年8月 10 日付け基発 0810 第1号)に基づく東京電力福島第一原子力発電所における事故の教訓を踏まえた対応の徹底に関する事項 |
オ 業務請負等他者に作業を行わせる場合の対策 | 安全衛生経費の確保等、請負人等が安全で衛生的な作業を遂行するための配慮、その他請負人等が安全衛生に係る事項を円滑に実施するための配慮 |
出典:厚生労働省「令和6年度全国労働衛生週間実施要綱」
過重労働による健康障害防止のための総合対策をはじめ、メンタルヘルス対策の推進、転倒・腰痛災害の予防、現在実施されている「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」に基づく熱中症予防対策の推進等が、挙げられています。
現在実施されている「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」に基づく熱中症予防対策については、下記の記事をご覧ください。
10月1日から始まる全国労働衛生週間中に実施する事は?
令和6年度「全国労働衛生週間」の本週間中(10月1日~7日)に、事業者及び労働者が連携・協力しつつ、実施する事項については、実施要綱に下記の事項が挙げられています。
ア 事業者又は総括安全衛生管理者による職場巡視
イ 労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
ウ 労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
エ 有害物の漏えいによる事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した
実地訓練等の実施
オ 労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労
働衛生の意識高揚のための行事等の実施
職場パトロールや南海トラフなどの地震や大雨災害などを想定した訓練などを実施しましょう。
9月~11月全国労働衛生週間に関連したキャンペーンは?
厚生労働省では、過重労働・メンタルヘルス・健康確保等の対策のために、9月は「職場の健康診断実施強化月間」と「自殺予防週間」、10月は「年次有給休暇取得促進期間」、11月は「過労死等防止啓発月間」「テレワーク月間」とし、それぞれの期間中に、周知・啓発等の取り組みを集中的に実施しています。
23日厚生労働省のホームページに「職場の健康診断実施強化月間」についてのリーフレットが掲載されています。
健康診断を受診させる必要がある学生アルバイトや6か月以内に1回健康診断の受診が必要な深夜勤務者については、下記の記事をご覧ください。
また21日に開催された「第6回 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会」では、一般健康診断問診票を改訂し、女性特有の健康課題(月経困難症、PMS(月経前症候群)、更年期障害等)に関する質問を示すこと等が、検討されています。
出典:厚生労働省「第6回労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会参考資料3」
まとめ
働き方改革が始まり、2019年4月から年次有給休暇年5日取得義務化・時間外労働の上限規制が大企業に適用(中小企業は2020年4月1日から、建設業や自動車運転業務・医師等は2024年4月1日から適用)されています。
会社は、労働災害を防止し、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、社員の安全と健康を確保するようにしなければなりません。(労働安全衛生法第3条第1項)
そのため業種を問わず、社員が10人以上になった時は「安全衛生推進者または衛生推進者」、50人以上になった時は「衛生管理者(建設業など一定の業種では「安全管理者」も)」を選任し、安全や衛生に関する技術的事項を管理させなければなりません。
社員の方の健康障害防止のため、令和6年度全国労働衛生週間実施要綱をご確認ください。
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