令和6年度全国安全週間実施要綱発表!6月に会社がすべきことは?

 厚生労働省では、毎年7月1日から1週間、「全国安全週間」が実施されています。4月12日厚生労働省HPで令和6年度「全国安全週間」の実施要綱が公表されました。

97回目となる令和6年度の「全国安全週間」スローガンは、「危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全」で、労働災害を防止するために産業界での自主的な活動の推進と、職場での安全に対する意識を高め、安全を維持する活動の定着を目的としているということです。

この記事では、令和6年度の「全国安全週間」の準備期間(6月)と7月1日から1週間の「全国安全週間」および全国安全週間以外についても、継続的に実施することについて解説します。

労災による死亡者数・死傷者が多い業種は?

厚生労働省の令和5年労働災害発生状況(3月速報値)によると、令和5年(1~12月)の1年間に労災による死亡者数は、全体で725 人(前年同期比 ▲19人、2.6%減少)となっています。

業種別発生状況によると、労災による死亡者数が多かった業種は、

1位 「建設業」 212 人 (前年同期比 ▲60人、22.1%減少)

2位 「第三次産業(医療・介護事業、小売業、飲食業等)」201 人 (前年同期比 +12人、6.3%増加)

3位 「製造業」 133 人 (前年同期比 ±0人、増減なし)

と労災による死亡者数は、全体の約3割を建設業が占めています。

事故の型別発生状況によると、「墜落・転落 」「交通事故(道路)」「 はさまれ・巻き込まれ」の順に多くなっています。

また令和5年(1~12月)の1年間に、労災による休業4日以上の死傷者数は、全体で133,169 人 (前年同期比 +3,034人、2.3%増加)と前年同期より増えています。

業種別発生状況によると、労災による休業4日以上の死傷者数が多かった業種は、

1位 「第三次産業」    68,307 人 (前年同期比 +2,766人、4.2%増加)

2位 「製造業」      26,805 人 (前年同期比 +519人、2.0%増加)

3位 「陸上貨物運送事業」 16,021 人 (前年同期比 ▲302人、1.9%減少)

と労災による休業4日以上の死傷者数は、全体の約5割を第三次産業(介護施設、小売業、飲食店など)が占めています。

事故の型別発生状況によると、「転倒」「動作の反動・無理な動作」「墜落・転落」の順に多くなっています。

出典:厚生労働省「令和5年労働災害発生状況(3月速報値)」

全国安全週間の期間と準備期間は?

4月12日厚生労働省HPに掲載された「令和6年度全国安全週間実施要綱」によると、令和6年度の準備期間と全国安全週間は、

・準備期間は、6月1日(土)から6月30日(日)まで

・全国安全週間は、7月1日(月)から7月7日(日)まで

とし、厚生労働省、中央労働災害防止協会、建設業労働災害防止協会などの協賛者は、安全広報資料等の作成・配布、広報、安全パトロール等の実施、安全講習会や事業場の実施事項について指導援助、全国安全週間にふさわしい行事等を行うということです。

出典:厚生労働省「令和6年度『全国安全週間』を7月に実施」

全国安全週間の期間と準備期間に会社が実施することは?

実施者(各事業場)が、準備期間中及び全国安全週間に実施する事項として、下記が挙げられています。

(1)安全大会等での経営トップによる安全への所信表明を通じた関係者の意思の統一及び安全意識の高揚

(2)安全パトロールによる職場の総点検の実施

(3)安全旗の掲揚、標語の掲示、講演会等の開催、安全関係資料の配布等の他、ホームページ等を通じた自社の安全活動等の社会への発信

(4)労働者の家族への職場の安全に関する文書の送付、職場見学等の実施による家族への協力の呼びかけ

(5)緊急時の措置に係る必要な訓練の実施

(6)「安全の日」の設定の他、準備期間及び全国安全週間にふさわしい行事の実施

全国安全週間以外も会社が継続的に実施することは?

労災防止のために、事業者は、準備期間及び全国安全週間以外についても、以下の事項を継続的に実施するとされています。

(1)安全衛生活動の推進① 安全衛生管理体制の確立
ア 年間を通じた安全衛生計画の策定、安全衛生規程及び安全作業マニュアルの整備
イ 経営トップによる統括管理、安全管理者等の選任
ウ 安全衛生委員会の設置及び労働者の参画を通じた活動の活性化
エ 労働安全衛生マネジメントシステムの導入等によるPDCAサイクルの確 立
② 安全衛生教育計画の樹立と効果的な安全衛生教育の実施等
ア 経営トップから第一線の現場労働者までの階層別の安全衛生教育の実施、特に、雇 入れ時教育の徹底及び未熟練労働者に対する教育の実施
イ 就業制限業務、作業主任者を選任すべき業務での有資格者の充足
ウ 災害事例、安全作業マニュアルを活用した教育内容の充実
エ 労働者の安全作業マニュアルの遵守状況の確認
③ 自主的な安全衛生活動の促進
ア 発生した労働災害の分析及び再発防止対策の徹底
イ 職場巡視、4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)、KY(危険予知)活動、ヒヤリ・ハット事例の共有等の日常的な安全活動の充実・活性化
④ リスクアセスメントの実施 ア リスクアセスメントによる機械設備等の安全化、作業方法の改善 イ SDS(安全データシート)等により把握した危険有害性情報に基づく化学物質のリスクアセスメント及びその結果に基づく措置の推進
⑤ その他の取組
ア 安全に係る知識や労働災害防止のノウハウの着実な継承
イ 外部の専門機関、労働安全コンサルタントを活用した安全衛生水準の向上
ウ 「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」に基づく、安全衛生に配慮したテレワークの実施
(2)業種の特性に応じた労働災害防止対策① 小売業、社会福祉施設、飲食店等の第三次産業における労働災害防止対策 ア 全社的な労働災害の発生状況の把握、分析 イ 経営トップが先頭に立って行う安全衛生方針の作成、周知 ウ 職場巡視、4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)、KY(危険予知)活動、ヒヤリ・ハット事例の共有等の日常的な安全活動の充実・活性化 エ 安全衛生担当者の配置、安全意識の啓発 オ パート・アルバイトの労働者への安全衛生教育の徹底
② 陸上貨物運送事業における労働災害防止対策
ア 荷台等からの墜落・転落防止対策、保護帽の着用
イ 荷主等の管理施設におけるプラットフォームの整備、床の凹凸の解消、照度の確保、混雑の緩和等、荷役作業の安全ガイドラインに基づく措置の推進
ウ 積み卸しに配慮した積付け等による荷崩れ防止対策の実施
エ 歩行者立入禁止エリアの設定等によるフォークリフト使用時の労働災害防止対策の実施 オ トラックの逸走防止措置の実施 カ トラック後退時の後方確認、立入制限の実施
③ 建設業における労働災害防止対策 ア 一般的事項
(ア)「木造家屋等低層住宅建築工事墜落防止標準マニュアル」に基づく足場、屋根・屋上等の端・開口部、はしご・脚立等からの墜落・転落防止対策の実施、フルハーネス型墜落制止用器具の適切な使用
(イ)足場の点検の確実な実施、本足場の原則使用、改正「手すり先行工法等に関するガイドライン」に基づく手すり先行工法の積極的な採用
(ウ)職長、安全衛生責任者等に対する安全衛生教育の実施
(エ)元方事業者による統括安全衛生管理、関係請負人に対する指導の実施
(オ)建設工事の請負契約における適切な安全衛生経費の確保
(カ)輻輳工事における適正な施工計画、作業計画の作成及びこれらに基づく工事の安全な実施
(キ)一定の工事エリア内で複数の工事が近接・密集して実施される場合、発注者及び近接工事の元方事業者による工事エリア別協議組織の設置
イ 改正「山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止対策に係るガイドライン」に基づく対策の実施
ウ 令和6年能登半島地震の復旧、復興工事におけるがれき処理作業の安全確保、土砂崩壊災害、建設機械災害、墜落・転落災害の防止等、自然災害からの復旧・復興工事における労働災害防止対策の実施
④ 製造業における労働災害防止対策
ア 機械の危険部分への覆いの設置等によるはさまれ・巻き込まれ等防止対策の実施
イ 機能安全を活用した機械設備安全対策の推進
ウ 作業停止権限等の十分な権限を安全担当者に付与する等の安全管理の実施
エ 高経年施設・設備の計画的な更新、優先順位を付けた点検・補修等の実施
オ 製造業安全対策官民協議会で開発された、多くの事業場で適応できる「リスクアセスメントの共通化手法」の活用等による、自主的なリスクアセスメントの実施
⑤ 林業の労働災害防止対策 ア チェーンソーを用いた伐木及び造材作業における保護具、保護衣等の着用並びに適切な作業方法の実施 イ 木材伐出機械等を使用する作業における安全の確保
ア チェーンソーを用いた伐木及び造材作業における保護具、保護衣等の着用並びに適切な作業方法の実施 イ 木材伐出機械等を使用する作業における安全の確保
(3)業種横断的な労働災害防止対策① 労働者の作業行動に起因する労働災害防止対策
ア 作業通路における段差等の解消、通路等の凍結防止措置の推進
イ 照度の確保、手すりや滑り止めの設置
ウ 「転倒等リスク評価セルフチェック票」を活用した転倒リスクの可視化
エ 運動プログラムの導入及び労働者のスポーツの習慣化の推進
オ 中高年齢女性を対象とした骨粗しょう症健診の受診勧奨
カ 「職場における腰痛予防対策指針」に基づく措置の実施
② 高年齢労働者、外国人労働者等に対する労働災害防止対策
ア 「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」に基づく措置の実施
イ 母国語教材や視聴覚教材の活用等、外国人労働者に理解できる方法による安全衛生教育の実施
ウ 派遣労働者、関係請負人を含めた安全管理の徹底や安全活動の活性化
③ 交通労働災害防止対策
ア 適正な労働時間管理、走行計画の作成等の走行管理の実施
イ 飲酒による運転への影響や睡眠時間の確保等に関する安全衛生教育の実施
ウ 災害事例、交通安全情報マップ等を活用した交通安全意識の啓発
エ 飲酒、疲労、疾病、睡眠、体調不良の有無等を確認する乗務開始前の点呼の実施
④ 熱中症予防対策(STOP!熱中症 クールワークキャンペーン)
ア 暑さ指数(WBGT)の把握とその値に応じた熱中症予防対策の実施
イ 作業を管理する者及び労働者に対する教育の実施
ウ 熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有する者に対して医師等の意見を踏まえた配慮
⑤ 業務請負等他者に作業を行わせる場合の対策
ア 安全衛生経費の確保等、請負人等が安全で衛生的な作業を遂行するための配慮
イ その他請負人等が上記10(1)~10(3)④に掲げる事項を円滑に実施するための配慮

出典:厚生労働省「令和6年度全国安全週間実施要綱」

4月は、厚生労働省の令和6年「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」の準備期間です。準備期間の4月と5月~9月の「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」期間、7月の重点期間中に実施すべき職場の熱中症対策については、下記の記事をご覧ください。

まとめ

労働人口の高年齢化に伴い、転倒や腰痛により休業が4日以上必要な労働災害が増え続けています。

「つまずいて転んでケガをしたのは本人の不注意」と軽視せず、モップがけをした後に床が濡れたままになっていなかったか、滑りやすい場所であれば、注意書きを貼るなど、職場パトロールを定期的に行い、労災防止に努めましょう。

下記の記事も、ご覧ください。

2024年4月から適用されたトラック・タクシー・ハイヤー・バス運転手や建設業・医師の時間外労働の上限規制に対応した36協定届の作成や新たに記載が必要になった労働条件の項目を含む雇用契約書や労働条件通知書の作成やご相談については、下記をご覧ください。

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